今日は今年度で図書館に行く最終日でした。うちから半時間ほどかかるところにある図書館に二週間毎通い、ほぼ一人十冊ずつ貸し出してもらう我が家では、年間どれほどの本に触れていることになるのでしょうか。読めなくて延長したり、読まずじまいになるのもあるし、気に入って何度も借りる場合もあって、重複は多いけれど、一人年間二百六十冊も読む機会があるとは改めて計算しちゃうと驚きです。毎日必死で読んでいるのにどうりで間に合わなくて返す前日に毎度慌てる羽目になるはずですね。もう少し絞って借りれば良いのに、ついあれもこれもと欲張ってしまうのは安物買いの銭失いと似て誇れたもんじゃないですが、ズラッと並んだ本は私には砂金の川なので、すくい取らずにはいられません。
散々読んできて、読み聞かせもしてきて、笑って泣いてちょっと不満もありで、自分の分と子供たち四人の分とで千に近い本に出会ってきたわけですが、振り返るとしたら何が私の、そして子供たちの中に残ったのでしょうか。ほんの少しの金は見つかったのか、すり抜けていっただけなのか、年末は本選びも反省の時期です。
二歳の娘は「ゆうたくんちのいばりいぬ」シリーズを掘り当てました。だいぶ前の作品で、作者の若い写真にびっくりしてしまいますが、いばったハスキー犬の渋い語り口は色あせるどころか犬を飼い出して一年の身にはしびれる可愛さで、ついサンタさんも運んできてくれましたよ。ひろかわさえこさんの「ぷくちゃん」シリーズや工藤ノリコさんの「ピヨピヨ」「ペンギンきょうだい」「ノラネコぐんだん」も一通り読み、娘の明るさに拍車がかかりました。
五歳の息子は恐竜の絵本ばかり借りまくっておりましたが、迷路も鉄板で楽しむようになり、その他絵が細かくて攻防繰り広げられる絵本に惹かれていました。コヤマスカンさんの『合戦どうぶつ関ヶ原』が今年のイチオシとなりました。この子は字は読めないままで、絵を見て自分で話を作るのが好きらしく、始終ブツブツブツブツ楽しんでいます。エルジェの「タンタンの冒険」も絵だけで楽しむツワモノです。
七歳、小学一年生の娘はかなりスラスラ自分で読めるようになって、読書量が激増しました。それまではとにかく絵の綺麗な本を眺めてばかりいたのに、今じゃすっかり読むことを楽しむようになって、低学年向きの幼年童話を片っ端から読みまくっています。幸か不幸か記憶力はあやしいままなので、何が印象的だったかを確かめる術はありません。結局怪傑ゾロリを楽しんでいたのでしょうか。それも私には共感できることなのでいいのですがね。それでもばばばあちゃん絵本を模写して素敵な絵を描いてくれたのは忘れられない出来事でした。冬休みも素敵な絵を増やしてくれることを母は期待しています。絵に出会い絵を磨くのも本の力の一つですね。
九歳の長女は探偵ものにハマっていましたよ。ホームズにはまだ持っていけないままでしたが、杉山亮さんの「名探偵」シリーズに富安陽子さんの「ムジナ探偵局」シリーズ、最近になって「マガーク少年探偵団」も見つけ出しました。この子は借りる本十冊のうち、六冊が読みもので残り四冊を絵本にして、大体無理なく読み切って自分のノルマをこなしています。時々私がちょっと背伸びした本を進めることもありますが、気に入って新しい扉が開かれたり、まだ早いなとブレーキをかけたり、安定した読書家道まっしぐらです。福音館書店が出している「クマのパディントン」が秋以降のお気に入りです。
私も十冊のうち何冊かを小説以外にしながらも、やはり小説メインで借りてしまうので、読み切れないことのほうが多かった気がします。たまにはレシピ本を借りてみたり、育児雑誌を手にしてみたり、大人の絵本を入れておいたりするのですが、気がつくと字ばかりの物語を追っているので、冊数を減らせば万事解決ですね。次年度の目標にしたいです。 三浦しをんさん、浅井まかてさん、原田マハさんは随分読みました。天童荒太さんも久々に読み返してやはり凄まじいなと感動新たにしているところです。 あとは子供用の本で、小学生じゃなくもう少し大きな少年少女を対象にした本を選ぶことが多かったです。佐藤多佳子さんの『シロガラス』とか斉藤洋さんの『ジーク』が今年読んだ大当たりでした。それでもなんといっても上橋菜穂子さんの『鹿の王』を読めたのが幸せ極まりなかったです。また何度も読んで、いずれ語れるようになりたいですよ。
毎年幾多の本が出版され世に問われ、根付くもの、絶えるもの、シビアな世界の片隅で、今年出会って気に入った本があったというのは、出版界と図書館の懐の広さのおかげであります。時には面白くなさにガッカリすることがあっても、それを上回る嬉しい発見のため、読書を楽しみ続けるしか進む道がありません。
子供たちには本を読むより先に家の手伝いをしてくれと願いながら、ちっともお手本行動が取れないミイラ取りの母であります。次年度も楽しみですね。
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